今回は、この連載のまとめとして、ではどうすれば嫌われずに、仲良くやっていけるか、その夫側のノウハウについて書きます。
賢明な方々なら、過去二回の記事でお分かりいただけると思いますが、まずは
「相手を他人と思いましょう」
「これからお付き合いを始める、大人の女性と思いましょう」
という基本に立ちましょう。
「長年夫婦として一緒に生きてきてるのに、何をいっとるんや?」と思われるかもしれません。そう。これは極論です。
が、あなたは、妻の今好きなこと、興味あること、友達関係などなど、ご存知ですか?
仕事中心の生活で、結婚までの、お付き合いしていたころのままの状態で、奥様をみていませんか?あなたも変わったように向こうも変わったのです。
たとえばあなたが今独身中年で、これからお付き合いしたいと思う人に、いきなり、命令口調やボディタッチを平気でできますか?
夜の世界でもそういうおっさんは、じつは一番嫌われていることを知っていますか?
興味を持った知らない者同士が縁を作っていくには、それなりのマナーとお互いを知る努力が大切、そんなことは誰でもわかっていますよね。
夫が妻と過ごす時間が増えた場合、極論ですが、上の観点に立って、関係性を作り直そうと思わなくてはいけません。
一方で、優位点もあります。
一からに比べ、奥様が少なくとも、今までわかれずに一緒に居を共にしているというのは、とことんあなたに愛想をつかせているわけではないからです。
だから、一から女性を口説く努力に比べれば、はるかに簡単な努力で報われます。
一番ダメなのは、妻側からすると、いままであまり家にいなくて、仕事でストレスもあるだろうなと、彼女が頑張ってやってきたこと、あなたの命令にもこたえてきたこと=よく言う「めし」「ふろ」「ねる」などの依頼に、今まで応えてきてくれたから、と、二人でいる時間が増えたのに、同じようにしていることです。
家にいるのが寝るまで5時間だから、我慢できたことが、16時間になってはもちません。朝、昼、夜と三食「めし」といわれたら、たまったもんではないのです。
ここまで読んでいやになった人もいるかもしれませんが、ここでは最悪のご夫婦を例に書いていますから、あなたと奥様の関係によってはもっとハードルも低いのです。
そして先に言いますが、妻側の問題点も、回を改めて書きますから、男性は俺だけが悪いと思わず、仲良し中高年夫婦をやりたいなら、我慢して読んでください。
1)相手を尊重する。
妻の状況を理解する、相手の時間・自由を大切にする。自分の都合、自分の時間を相手に押し付けず、妻側の時間や都合をきちんと聞いて、尊重する、これが一番大切です。
2)依存しない。
ごはん、ふろ、掃除、そのほか、家事全般を、もしいままで奥様がやってこられたとしたら、相手のペースでやってることに口を出さないようにしましょう。
また「お腹がすいたから夕飯まだかな」「お昼ごはんなに?」などを毎日毎回聞かれると、それだけで、いらいらすることはわかりますよね。こういう場合、相手に依存せず、自分でお腹がすいたら「今日、晩御飯俺作ってみるから、食べる?」とこっちでやるよ、をみせつつ、聞けばいいとおもいます。向こうが作ってあげようと思っているなら「私がするから、もう少し待って」など、回答がきますし、妻側も「夫が作ってくれる気があるんだ」と解釈してくれ、時には甘えて「やって~~」などと、二人で(遊びと思うこと)過ごす時間が作れます。
お風呂などの場合も同じで、勝手に風呂を洗って、お湯はりすればいいのです。で用意できたら「先に入る?」と一言聞いてあげれば、たいていの奥さんは一番最後に入ろうと考えてますから、「どうぞ」が帰ってきます。
一事が万事この調子で「○○やって」ではなく「○○するけど、どう?」と家事の主体を自分において、相手に聞けばいいとおもいます。そのためには、ヘタでも何でも自分でやってみよ、と思うことが大切です。
3)話は顔をみて、きちんと最後まで聞く。
相手から話が持ち出された場合、仮にテレビを見ているとしたら、
①いったん、テレビをミュートし、きちんと妻の顔をみて聞く姿勢を態度で示し、そして聞く。
これが一番いいと思います。どんなことであっても自分が聞くこと、話すことを最優先で気にかけてくれるのはうれしいものです。部下から相談があってデスクに来たとき、手を止めて聞いてくれる上司は、当然部下に信頼されます。あなたもきっとそうしてきたと思います。同じことです。
②どうしても今手が離せない場合、あるいはドラマがクライマックスで、見続けていたいなどの時は「5分待って」「10分待って」と、時間指定をしましょう。普通の関係ならそれでも十分。そのうえで①のように「ごめんね。ありがとう。話聞くわ」と、向き合いましょう。
4)相談相手・頼れる相手として機能する。
長年一緒に生きてきたということは、つまり妻側も夫側のどこかを頼りにしてきたし、また夫側も妻が知らない経験をたくさん積んできたわけです。ですから、最高にプライベートな「相談相手」になれれば、ベストな関係が築けると思います。
妻が何かを相談してきたり、たとえば参加サークルの人間関係のボヤキとか、そういう話が出た時は大チャンスです。自分が会社や外の人間関係で経験してきた知恵を駆使し、私はこうやって指導してきた、学んできた、コミュニケーションしてきた、と相手の話をバカにせず、自分の経験をきちんと伝えてあげればいいと思います。失敗した話も含めて。
もうひとつ、一般論として女性はパソコンや車、家電、大工仕事などが苦手な方が多いようです。会社で学んできたパソコンなどの知識、趣味で知ったいろんな電気仕事の知識など、できるだけ奥さん側の苦手なことを、自分で解決してあげましょう。家にいる存在価値を自然に認めてくれます。
要は頼れる存在になることです。
5)自分もなにかに挑戦する。
自分自身に生まれてきた余裕の時間を、なにか新しいこと、できなかったことに費やしましょう。それは何も妻に相談の必要はありません(お金が絡めば別ですが)。自分の興味でいいのです。
たとえば、スポーツのサークルに入るでもいいし(おやじサッカー、おやじラグビー)、音楽でも、DIYでも、あるいはasita.baに投稿して、自分の職業経験を活かしたライターになる!とか、やれることは無尽蔵にあります。そしてそれを妻に報告しましょう。前向きに生きていることを、女性はいくつになっても好みます。そしてそれは、自分の夫を見直す機会にもなります。
6)感謝の意思表示をこまめにおこなう。
「ありがとう」でも「おお」でも「うん」「サンキュー」でも、あなたが無口な人か、表現が得意な人か、その範囲でかわりますが、とにかく「ありがとう」の気持ちをできるだけ伝えることが大切だと思います。
ご飯できたよ、にありがとう。
お風呂わいたよ、にありがとう。
軽く、簡単にいえばいいのです。「オッケー」でもなんでもかまいません。ありがとうの気持ちが入ってれば伝わります。
あたりまえのことに、きちんと感謝してくれると、相手も同じように感謝の気持ちを出しやすくなります。会社でもそうだったでしょ?
7)押し付け禁止。
「○○やってあげた」…この一言ほど、感謝を台無しにする言葉はありません。「掃除やったやん、俺」「風呂洗ったやん」「洗濯物取り込んだやん、雨やから」…家事以外もふくめ、今まで妻が無言で当たり前にやってきたことを、さも大仕事のように、言われることほど頭にくることはありません。それは仕事でも同じだったと思います。部下や上司のフォローを、自分の得点のようにアピールしている人間はたいてい嫌われ者になります。淡々とやってあげて、何も言わない。それが一番相手に通じます。プロだなあと信頼につながります。相手はいつも見ているのです。
以上、7つの法則を紹介しました。
そしてここまで読んだあなたは、気づくでしょう。
これって、会社や外の人間関係で学んできたこと、やってきたこと、あるいは、自分が指導してきたことと全く同じだと。
たいていの夫婦間のトラブルは、夫婦だからと甘えて「他人である」「ひとりの人格である=個人である」と、妻を認識せず、知らず知らず人間関係の基本をわすれ、勝手な甘えを繰り返してきたことに起因するのです。
1)に書いた相手を尊重すること。結局これがすべてで、長年仕事など「社会」というスキームの中で人間関係を培ってきたあなた=夫には、実はそのノウハウは充分に蓄えられているのです。
びびることはなにもなし!です。