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中高年夫が嫌われないために①

熟年離婚という言葉を知らずに過ごす、幸せなご夫婦はいないでしょう。

それほど、この10年で、中高年夫婦のありようは変化を見せてきています。

表は厚生労働省の調査による離婚年齢の推移です。

離婚推移

 

見ていただいてわかるのは平成10年あたりを境に35歳以上の離婚が増える傾向にあるということです。

データが少し古いので最新の状況はわかりませんが、いわゆるバブル期女子が今や50代ですから、この流れはアップしてきていると推測できます(バブル期女子さん、ごめんなさい)。

 

さてそんな流れの中で、夫側は年とともに「在宅率」があがっていきます。

とくに定年を過ぎるとほとんど家で過ごすことになります。

そして、そこで男の側から言うと、まったく理解不能な、「熟年離婚へのステップ」に陥りがちになります。

夫婦危機の循環

 

これが、筆者の言う「熟年離婚へのステップ」です。

 

俗に「いい妻」ほど、夫は危機感を感じなくてはいけない。

ではこのような熟年離婚へのステップは、なぜ生まれるのでしょうか。

日本の多くの男性は、働き始めると「会社」が世界の中心になってしまいがちです(ここでは一般的なサラリーマンの例で語ります)。

日本の企業はかつての終身雇用は消え、今や労務管理にいおいては過渡期にあるといえます。役職定年55歳企業も普通ですから、今の70代からは考えられない過酷な環境です。

サービス残業や休日出勤、お付き合いという悪慣行も残っていますから、会社がすべての生活にならざるをえません。

そして、それら夫側の事情に対し、実は一般的に「理解ある奥さん」「賢い奥さん」ほど、「自分なりの生活世界」を作り上げていきます。

理解ある奥さんは、働く旦那に、甘えるのではなく様々な取り組みを早期から始めます。

子育て期が過ぎたあとは、基本、仕事、趣味、地域などにどんどんネットワークを作っていきます。帰ってきた夫とその話を共有しようにも、お疲れ、ぐったりの夫の顔を見て我慢。
でも人間は一人では生きていけませんから、夫の外の「時間」「関係性」がどんどん強化されていきます。

また夫婦の性的関係もこの傾向に拍車をかけます。日本性科学会が2011年から2012年にかけて、40歳から79歳まで(平均年齢は男性が59.5歳、女性が57.2歳)の男女1000名を対象におこなった調査では、配偶者のいるカップルのセックスレスが顕著になっています。

セックスがこの一年まったくない、と答えたのは、男性全体で52%、女性全体で54%。これは、2000年調査時の25%、23%から倍増しており、特に50代は低下が著しいそうです。

アメリカ映画などでは70代でも仲良く過ごすシーンがよく見られます。キリスト教的倫理観が、一応のモラルとして存在する西欧ですから、結婚後、妻や家庭とともに過ごす時間のない男は簡単に離婚の対象になります(プロレスラーやロックスターに離婚が多いのはツアーの長さが大きな原因です)。
その欧米と同じ状況は、先ほど書いたのとは逆に、「我慢しない妻」と結婚した場合におこります。若い年代での早期離婚につながるので、熟年離婚化しにくいのです。

やさしくて、がまん強くて、わがままを言わず…夫にとってある意味理想的だった奥さんほど、最後の最後にぶちぎれてしまうというわけです。

 

では、妻に嫌われず、今から仲良く過ごすには?

 

それらの検討は次回じっくりおこないます。

 

2016.09.05 堀埜