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地震に備えるために学ぶ~補助金をつかおう!~

耐震診断は補助金がつかえる!

 

耐震診断の費用と補助金について

前回、耐震診断の必要性をお伝えしたが、今回はその費用に対して意外と知られていない自治体の助成制度についてお伝えする。
耐震診断の費用というのは、実は特に決まってはいない。基本的に診断をおこなう各業者は補助金額から割出して依頼者負担を最小限に抑えた金額の設定をしている。

2005年国交省は、10年で700万戸の耐震化を目指して「住宅・建築物の地震防災推進会議」を設置し、翌年の2006年に「改正耐震改修促進法」として法律化し、全国自治体への助成事業がスタートした。その内の木造家屋に関しての補助金額は、基本的に診断費用を5万円(床面積・階数・規模により上下あり)に設定して、その費用の90%の4万5千円を補助して依頼者負担額を5千円としているところが多い。

近畿でも基本4万5千円の補助金を設定している自治体が多い。また兵庫県、堺市などでは耐震診断の業務を登録資格者として診断者を派遣してくれるところもある。これは診断業務に関しても、当時話題になった補助金目当ての偽装調査を防ぐ目的のためだ。

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さて、10年700万戸の耐震化は結果達成できたのか?残念ながら、まったく目標には届いていない。下記新聞のリンクをご覧ください。

日経新聞進まぬ住宅耐震化「9割達成」神奈川のみ

その理由は

  • 耐震診断は耐震補強工事をともなうものではない。単なる診断だけで、例えるならば、病院での問診の様なもの。治療は別。
  • 治療に当たる「耐震補強工事」に補助はあるものの、補助金で全額賄えないケースがほとんど。

…という事情からだ。

現状の状態はわかるが処方箋(耐震補強方法)までは含まれていないし、治療費用・手術費(耐震補強工事)は実際に工務店等の業者から見積を徴収しなければならない。手間や煩わしさがかかる施主の作業や、業者に見積を依頼したら断わり難いなどの心情的なことも災いして、工事に補助金を付けても耐震化が進まない一因となっているのだ。

各自治体は改修工事に関しても補助金(大阪市例:1戸当たり工事費の1/2かつ100万円)を設定している。ただし改修設計費までは補助している自治体は少なく工事費には含めないことにしている自治体もある。大阪市は助成が比較的手厚く、耐震改修設計費用についても1戸当たり設計費用の2/3かつ上限10万円(長屋を借家として所有しておられる依頼者には1棟18万円)の補助金がある。しかも概算でも良い工事見積の提出が義務付けられており、依頼者にとっては工事についての負担費用が把握しやすく検討・結論が決定しやすいのである。

大阪府、京都府、兵庫県の補助金は?

(各県HPよりの当社調べ)

大阪府
○耐震診断       45,000円補助(費用を50,000円と想定)

○耐震設計費用     70,000円補助(100,000円と想定)

○耐震改修工事費用   400,000~600,000円補助(給与総額により補助が異なる)

 

京都府
○耐震診断       無料(府より派遣。交通費3,000円は負担必要)

○耐震改修工事費用   最大900,000円(設計費用を含む総額の3/4まで)

 

兵庫県
○耐震診断・設計・改修まとめて、かかった総額(カッコ内数字)に応じ

300,000円(500,000円~)/500,000円(1,000,000円~)/
800,000円(2,000,000円~)/1,000,000円(3,000,000円~)の4段階支給

なお実際は各市町村に窓口があり、市町村独自の補助がおこなわれているケースも多い(本文で触れた大阪市など。奈良県はすべて市町村対応)。

したがって、まずは各市町村窓口に聞いてみるのがいいだろう。

 

 

耐震設計だけでもやっておくべき

将来起こるか起らないか不明確な「我が家の地震災害」に対し、お金をかけるべきか、そのまま住み続けるかどうか、いずれにしてもそれは、「自己責任」というのが目下の現状である。

であれば、せめて「診断」だけでもおこない、我が家の現状をリアルに把握しておくために、補助金でほとんどが賄える耐震診断だけでもやっておくほうがよいだろう。

そこで注意しておきたいのは、信頼して任すことが出来る耐震技術者と出会うことだ。

専門業者でも診断から工事と耐震に特化して業務を誠実にされている業者もおられるし、設計者で専門的に業務をされている設計事務所もおられる。

ただし一般的な「耐震診断」は「耐震工事受注」とセットで営業している工務店、リフォーム事業者が多い。

そこで基本的な見分け方として、悪徳業者によくあるパターンを下記に記しておく。

  • 無料診断をおこなっています。
  • この近くで工事があるので、今ならお安く対応できます。
  • 工事とセットで工事をやたら進めてくる。
  • 「特殊な金物の利用」などを協調してくる。
  • 追加工事に関する説明が曖昧

…などだ。③について補足すると、特別な工法や金物を使用しなくても、外壁だけや内壁だけで耐震壁として数値は上げることが出来るし(次回耐震の現場で説明)、材料についても市場で普通に流通している筋交いや構造合板で補強が可能で、金物はJIS規格の安価な材料で十分なのである。「当社の工法や金物は、助成申請に適合しているので補助金もらえますよ!安心ですよ!」の文句には要警戒!なのである。

⑤に関して補足すると、古い木造家屋などは壁をめくってみないと状態がわからない、といったケースも多い。この場合、当初想定の工事見積もりだけでは済まないケースがあるが、その場合にどうするか、を明確に最初の時点で説明してくれる業者はまともな業者と言っていいだろう。「こうしておきました」と結果報告で、見積もりと異なる請求をしてくる業者もいるので要注意だ。

もし診断や工事業者に不安がある場合asita.baに問い合わせていただければ、一級建築士で耐震診断ができるスタッフを紹介します。

asita.baへの耐震診断・工事見積もりなどスタッフ紹介問い合わせ

 

大阪府の耐震化補助について

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兵庫県の耐震化補助について

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