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地震に備えるために学ぶ③~耐震工事の実際と自分でできる耐震チェック~

耐震工事って実際は何をするの?

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これまで2回にわたり、耐震診断の必要性そして診断・改修設計・改修工事の補助金についてお伝えしてきました。今回の最終回は耐震工事の実際について紹介します。

少し専門的な話になりますが…。

旧耐震は、柱とそれをつなぐ梁と補強的な「たすき」に渡した「筋交い」で横揺れに対して建物を耐えさせてきました(下記)。

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しかし直下型地震という突き上げの外力に対して、新耐震は、土台と柱の引き抜き及び壁面の柱と梁との一体化を目的に、壁面壁量を配置する構造工法に大きく舵を切ったりました(下記)。

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その結果固めた壁面を多量に設置すれば良いという考えになり、デザイン性や遊びのある空間は実現し難いものになりました。

とはいえ、お客さんの多くは見た目と予算がポイントです。

結果新築の物件では耐震保証の名で、箱のような家(壁が多い)にメーカー規格の出窓などを取付けた建物が氾濫し、安い商品として売買される傾向が生まれました。

しかし、大切なことは、やたらに耐震壁を設置して壁量を増やすのではなく、いかに平面的に均等に耐震壁を配置するかなのです。

つまり揺れはどこから来るのかはわかりませんから、東西南北に均等な強さを柱と梁、そして壁面で支えることが重要なのです。

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又、いくら2階に耐震壁を設置しても1階が持たなければ意味がありません。悪質な業者の場合、壁量をクリアし申請許可をとるためだけに、触りやすい2階で壁面積を稼ぐという例もあります。つまり1階と2階そして東西南北に均等に耐震壁を配置する事が重要だということです。

耐震工事の実例と課題

次は、耐震壁を施工する工程手順は、

①基礎と土台を緊結にする。(アンカーボルト)
②土台と柱を緊結にする。(ホールダウン金物)
③柱と梁を緊結にする。(梁用ホールダウン金物)
④筋交いの端部を柱と梁に緊結にする。(筋交い金物)
⑤壁面耐力を高める為に、土台と柱と梁を一体化する。(構造用合板+専用規定ビス:本数重要)

となります(写真は③④の例)。

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上記のどれかひとつふたつで補強しても、耐震壁としては充分に機能しないので、改修工事を実施する意味がありません。

しかし、①~⑤の工程の耐震壁を均等に設置するとなると工事費もそれなりに高いものになります。
筆者の耐震改修工事での経験では、耐震壁にかかる費用は、半間(幅≒90㎝)の壁で一箇所40~50万円(基礎設置し一部既存壁撤去から後の仕上げを含めて)です。
例えば4ヶ所の新設耐震壁の設置が必要になれば、160~200万円が必要になる計算です。

前回触れましたが各都道府県では、耐震工事にも補助金が設定されています。大阪市の場合、耐震改修工事で上限100万円かつ50%の補助金です。

大阪市の耐震補助制度

が、当然全額にはとどかず自己負担が発生します。しかも市民感覚としては「あるかないかわからない安心に百万単位のお金」ということになります。

 

耐震工事のタイミングはいつがいいか?

 

いますぐ、どうしても地震が心配で、とにかく耐震補強を!と希望する方もいらっしゃるでしょうが、上記のようにそれなりにコストもかかり、また補助金も上限があります。そこで、耐震壁を設置する一番良いタイミングは、家族構成や生活様式(バリアフリー化など)の変化により建物をリフォームなり増改築される時期であると考えます。

リフォームなどによって既存の壁を撤去したり、新たに間仕切壁などを新設される場合が、リフォーム壁と耐震壁を共用する事が出来て、リフォーム費用と耐震費用を兼用する事が可能になるからです。

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又、リフォーム時に耐震値を上げる事で、建築保険に関しても優遇される特典があります。

 

とりあえず!耐震診断だけでもやっておこう!自分でもチェックできるマニュアルも紹介!

さて3回にわたって紹介してきましたが、結論的に古い木造家屋に住んでらっしゃる場合、自らの安全安心をまもるために耐震補強は不可欠ですが、それなりに費用もかかり、生活状況などを考えて、すぐにとりかかれる余裕のある方はともかく、いろいろ生活全般の将来設計を考えたうえでの判断となります。

そのための基本的な事実確認として、このシリーズの最初に書いたように、まずは「耐震診断」だけを補助金を使って実質50,000円前後の費用で受けておく。

それで当面問題がないなら、それに越したことはないし、もし耐震工事が必要なら、「工事」「新築」「リフォーム」「転居」など、さまざまな方法のなかから、一番現実的な方法を考える。そしてもし工事をおこなうならリフォーム工事とセットで考える(リフォームはリフォームの融資などもありますし)。それが一番よいと思います。

お知り合いに信頼できる業者がいない場合、本誌でも相談にのらせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

 

さて最後にご自身で、耐震ができているか、その危険性をチェックできる資料をご紹介します。この資料は日本建築防災協会の作ったパンフレットですが、これであなたのおうちの危険度がある程度確認できますから、不安のある方はぜひご一読ください。

 

リーフリット「誰でもできるわが家の耐震診断」(一般社団法人日本建築防災協会作成)が、下記よりPDFでダウンロードされます。

簡易耐震チェック

 

文:中村泉
企画・構成:堀埜正直

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