「同じ釜の飯を食う」など、一緒に食べることで、仲間意識やきずなが深まることを例える諺はたくさんあります。
実際職場や仲間の集いなどでも、同じテーブルを囲んで「宴会」形式で食事をする機会ほど、楽しいものはありません。
さて、「一緒に食べる」ことの大切さを、知ってる私たちですが、一方で、先進国の中では突出して、相対的な貧困状態にある子どもが多いのも日本です。
内閣府:平成26年版子ども・若者白書より
図でわかるように、日本は国際比較において子どもの貧困率が世界で10位と突出しています。あの経済破綻のギリシャにも後れをとるほどです。
またその実態としては、子供のいる親一人の家庭が、突出して高いことが次の表でわかります。つまり子どもの貧困は「単身子育て世帯」の貧困の反映でもあるわけですね。
内閣府:平成26年版子ども・若者白書より
そういった現実の中で、働く親は、なかなか子供の面倒をみることができませんから、わずかなお金を渡し、子どもたちは、そのお金で、手じかなコンビニフードを、一人で食べる…という事態にもなります。
本来「食べる喜び」「おいしさ(あたたかさ)の満足感」そして「一緒に食べるたのしさ」を味わい、そういった感性をはぐくんでいく場となる「夕食」機会が、失われている現実があるのです。
こうした中で、うまれてきたのが「子ども食堂」です。
いろんな家庭の事情で、孤食や個食にならざるを得ない子どもたちに、暖かい食事を提供しよう!
そもそもの趣旨はただそれだけのいたってシンプルなモノです。
食材は寄付、調理は地域ボランティアさんが手掛けることが多く、無料または数百円で食事を提供する形式です。昨年あたりからテレビ、新聞等の報道も増えていて、関西でもたくさんの子ども食堂が生まれつつあります。そしてそのネーミングのわかりやすさ、地域になにか役立つことをしたいけれど、何をしたらいいかわからない、というおとなたちのニーズにマッチし、関西にもどんどん子ども食堂が増えています。
さてそんな子供食堂ですが、多くの報道などによると副次的なメリットもたくさん生まれつつあるようです。
仕事も落ち着いて、なにか社会に役立つことを!と考えているみなさん、この素敵な新しい地域の「だんらん」=「子ども食堂」に、かかわりたいと思いませんか?
そしてもしあなたに、他の素敵な特技があれば、食事の後に子どもたちや地域の方々の前で、それを披露する場にもなり、その子ども食堂に新しい魅力が加わっていくことにもなりますよ。
たとえばちょっとしたマジックができれば、「手品のおじさん」として、人気が出るかもしれません。
昔のあそびを知っていれば、スマホゲームとは違う、みんなと触れ合う喜びを、その地域の子供に伝えられるかもしれません。
でも、どこへ問い合わせたらいいのかな?
大丈夫です。関西の子ども食堂を紹介してくれる「こども食堂ネットワーク関西」が誕生しました。
こども食堂に食べに行きたい人、こども食堂を手伝いたい人両方が使えるように、次の子ども食堂はいつどこでおこなわれるのかを紹介してくれるカレンダー。
近所のどこにあるのかを探せるマップ。
地域の子ども食堂の活動内容を紹介してくれるページ。
など、初めてのあなたにもとてもわかりやすいコンテンツでいっぱいです。
それぞれの子ども食堂のリンク先では、たとえば、この子ども食堂ネットワーク関西の事務局もつとめる「にしなり☆こども食堂」さんの場合、こんな素敵なホームページで、活動の紹介やスケジュールの公開をおこなっています。
最後に、こども食堂ネットワーク関西さんのホームページからの転載です。
とてもすてきな文章ですよ。
こどもが1人でも入れるのが“こども食堂”です。
地域ぐるみで垣根のない居場所を作ることで、制度のはざまの困りごとに、様々な人たちが助け合いつながり、こどもが笑顔になると、大人も笑顔になる。
「ほっとけない」課題を「こども食堂」という形で改善しようと活動を続けています。
温かいごはんをつくって待っているのは、近所のおじちゃん、おばちゃん、お姉さん、お兄さんたち。
「ごはんが命と心を元気にしてくれる」手作りのごはんを通じて、ありのままの自分をあたたかく迎えてくれる人、信頼できる人につながった時、そこから、こどもの人生が変わっていきます。
こども食堂へ行きたい人、手伝いたい人を結びつけるのが、『こども食堂ネットワーク関西』です。
取材協力:こども食堂ネットワーク関西 川辺康子さん
文:堀埜正直