新しい仲間作りや、単純に暇つぶしもふくめ、この時代を象徴するメディアとなったSNSだが、利用者に一定の傾向がみられることが、ブランドコンサルティング会社:株式会社リスキーブランドの調査でわかりました。
この調査では、主要SNSのユーザー動向を継続的に測定していますが、現在最も多くのアクティブユーザーがいるのはLINE。調査対象である全国15~64歳の48%がアクティブユーザーです。
※アクティブユーザーとはIDをもっているだけでほとんど使わない、や、たまにしかみないというユーザーを除外し、一定期間内に一回、または頻繁に利用するユーザーのことを指します。
次にアクティブユーザーが多いのはTwitter。Twitterのアクティブユーザーは全国15~64歳の25%を占めます。Twitterは2015~2016年にかけて伸び悩みましたが2017年には再び上昇基調となりました。同サービスに動画配信サービスが強化されたことが影響しているのかもしれません。
Facebookのアクティブユーザーの数は全国15~64歳の18%ですが、2015年の20%をピークに2016年では19%、2017年では18%と頭打ちの傾向を示しています。
Instagramのアクティブユーザーの数は全国15~64歳の13%とFacebookよりもやや少ない数字ですが、この数年で最も伸長率が高く、2015年から2.1倍のアクティブユーザーを獲得しています。
年代別にみたFacebookのアクティブユーザー率は、50~64歳の年齢層ではここ数年安定していますが、15~29歳の若年層では低下傾向にあります。2013年では28%あったアクティブユーザー率は2017年では21%に減少しています。
Twitterの15~29歳の若年層でのアクティブユーザー率は、2011年では23%だったのが2017年では49%と6年で2倍以上増加しています。但し他の年代層でのアクティブユーザー率は微増に留まり、Twitterの好調さは若年層に支えられていることがわかります。
Instagramは特に15~29歳の若年層でのアクティブユーザー率の増加が顕著です。2015年には8%だったのが2017年では25%と、この2年で3倍のアクティブユーザーを獲得しています。
LINEは、15~29歳の若年層を中心に全年代でアクティブユーザーを獲得しています。2017年でのアクティブユーザー率は、15~29歳で69%、30~49歳で45%、55~64歳で33%という数字です。
Chart6は主要SNSアクティブユーザー別の男女比をみたものです。このチャートをみると、女性比率が最も高いのがInstagram、最も低いのがmixiであることがわかります。Instagramのアクティブユーザーの女性比率は6割を超えています。
LINEアクティブユーザーはSNSに「ロマン」を求める。
Chart7は、44項目の「価値観」のデータを使って、各SNSアクティブユーザーの価値観の特性を示したものです。チャートの値は、それぞれの「価値観」について、各SNSアクティブユーザーと日本人全体(N=4,361)との差異値を示します。それぞれのSNSアクティブユーザーの価値観特性をみてみましょう。
LINEアクティブユーザーの価値観特性の上位には「甘えたい」「癒されたい」「ロマンチック」といった項目があがっています。「容貌への関心」、「論理よりも感覚」が続きます。LINEアクティブユーザーは、若い・女性が多い…という先ほどの結果と併せて考えると、そこに理想的な自分や人間関係などのロマンを求めて参加している可能性が高いと言えるでしょう。反面それは報道される『出会い犯罪』の多くがLINEになっている原因とも言えます。もちろん筆者はLINEを非難しているのでありません。傾向から読み取れる仮説を提示しているにすぎません(こういうことを広告型ネットメディアは書かないので、言い訳(苦笑))。
あらゆるSNSやリアルな出会いにおいても、犯罪に出会う確率は一定程度ありますが、このような利用者傾向があるという事実に立った時、より高いリテラシーが求められることを指摘しておきたいと思うのです。
Twitterアクティブユーザーの価値観特性の上位には「甘えたい」「他人は他人」「IT関与」
「甘えたい」はLINEと同じですが、それ以外は少々違い「他人は他人」「IT関与」があがります。さらに「刹那主義」「流行先取り」と続きます。
Twitter利用者で、その自己の利用傾向やフォロー・フォロワー関係を考慮したことのある方ならお分かりいただけると思いますが、初期段階はともかく、一定の利用キャリアが続くと、「親和」「攻撃」の二つに分かれていく傾向があります。
この筆者の観察は、調査結果でも間接的に裏付けられる気がします。
Twitterはアップ・トゥ・デイトな話題に瞬間的にのっていく『匿名(多くが)』メディアなので、基本自分の趣味や考えにあった人たちとつながる傾向がありますが、短文かつ匿名性が強いために、面倒な場合すぐに関係を切る傾向が強いと考えます。したがって、ここでのマーケティングはあまり深いものやロイヤルティ獲得を目指すのではなく、いかに話題性があるかという点にポイントを置くのがいいのでしょう。
「デザイン至上主義」「容貌への関心」「流行先取り」 SNS映えするかどうか、の最先端=Instagram
「デザイン至上主義」「容貌への関心」「流行先取り」が価値観特性の上位。「視野を広げる」「センス優先」が続くInstagram利用者。
女性・若者利用率が高い、を合わせて考えたとき、今の若者の傾向を如実に表しているといえます。いわゆるSNS映えする…の典型がこの場だと言えるでしょう。
Facebookはリアルジャパンの反映に近い。だからプレッシャーがかかりやすい。
Facebookユーザーの価値観特性の上位には「視野を広げる」「体験したい」「社交性」といった項目があがり、「ユーモア力」「創造性」が続きます。
他のSNSと決定的に違い、Facebookの多くは実名登録であり、また電話帳や自分の経歴からのつながりを推奨してくる設計になっていますから、最も日本人のリアルな付き合い方に近い関係性が生まれやすいと推測できます。
したがって、ここでのアクティブユーザーは本人の人間力がもろに問われてきますし、また、日本人の多くが社会的・政治的な問題に距離を置くという一般的傾向と考え合わせたとき、「明るく、前向きで、経験豊富」といったセルフプロデュースが本人の人気・不人気の決定要因となってきます。
既存メディアの低下が言われ、新しいコミュニケーションツールとしてのSNSが話題になって、それなりの年数がたってきている中、個人も企業もそれらとどううまく向き合い、利用し、つながりを作るか、そのスキルが問われる時代になっています。
特にマーケティングの観点からは、さまざまなWEB上の仕掛けと連動し、これらをうまく利用するスキルのある会社が、今後の日本市場では必須といえます。
文責:堀埜正直